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今年の抱負 [日常]

2016年度、福岡県弁護士会の会長になることが決まった。
 小さい頃、4人兄妹の末っ子で、親のみならず、近所の人からもかわいがられて、幸せだった(のだろう)。よく覚えていないが、写真や親の話からすると、そうだったのだろうと思う。
 10代、容姿に劣等感を持ち、生意気と言われるのが辛かった。主観的には、ひたすら首を下げて生きていたが、人からみれば、やはり自己主張の強い少女だったらしい。同窓会では、そんなエピソードを語られる。でも辛かった。
 20代、家を出て世界を広げ、目立たない存在を目指すことを放棄して自然体を志し、結婚、出産、弁護士登録と目覚ましく過ぎていった。
 30代、子育てと仕事でてんてこ舞い。楽しくもあったが、毎日が精いっぱいで自分を顧みる余裕もなかった。
 40代、母と同居して、仕事に打ち込んだ。今のキャリアはこの時があったから。その分、下の子ども達には気が回らなかったかもしれない。
 50代、相変わらず仕事をしている間に子どもたちが家を出て、一人になった母が衰えてしまった。一人の夕飯も多かっただろう。ごめんね。最期は親孝行させてもらって、見送った。
 そして、60代。昨日と何が変わった訳でもない。この年なりの、仕事や子育てが続いている。子育てではなく、大人として向き合えるかが問われている気がするが。
 そして、そして・・・
 今年はもう一度精一杯仕事をしてみようと思う。
 会長に立候補するのは勇気がいった。シェリル・サンドバーグ氏(ファイスブックCOO)が言うように「大きな会議で男性は真ん中に座る。女性は役員でも端や後ろに座る傾向がある」という私の中の刷り込みを超える必要があった。立候補は私にとって第1歩であり、後退しない決意表明でもある。

戦争法は許せない!
正義と人権を守るこの仕事に誇りを持って続けていける道を広げたい!
後に続く女性弁護士たちの将来像に一つの道を残したい!

相談し易く頼りがいのある弁護士・弁護士会であるように!

原田直子

子ども達に安全・安心を届けるために(前編)

田嶌誠一教授の最終講義から学んだこと

2月13日、九州大学箱崎キャンパスにて田嶌誠一教授の最終講義を受けてきました。
田嶌教授は、臨床心理の分野においては「壷イメージ法」という療法を考案された方としてご高名ですが、一介の弁護士がなぜ教授の最終講義を受けたかというと・・・。
児童の社会的養護の課題、特に児童養護施設内で起きる暴力の問題に対して、教授が考案した「安全委員会方式」が導入されたという事案に行き当たったことがきっかけでした。

(以下、講義内容を要約。文責は柏熊。)

人の内面にアプローチする臨床心理の専門家が、どうして施設内の暴力問題に取り組むことになったのか。
教授は、外来で相談に来られる人たちはまだラッキーだ、本当に困っている人は孤立していて相談すら出来ない、そうした人たちにアプローチしていくには人の内面を探求するだけでは限界があるとしてネットワークを活用し、孤立している人達の居場所を作るべく精力的に実践していきます。
スクールカウンセラーとしてはいわゆる“困難校”で実践を積み、不登校児童に対して積極的に家庭訪問したといいます。「行ってもいい?」と聞くのではなく(そう聞いたら「いやだ」と言われるに決まっているから)、「行くからね。」と連絡を入れて家庭訪問を繰り返す。最初は会ってくれなかった子も何度も来るおじさんのことを無視することができなくなり、ようやく部屋のドアが開かれたとのこと。

そうした実践の中で、教授はさらに、ある子ども達には切実なニーズがあることに気付きます。
それは児童養護施設にいる子ども達です。

児童養護施設内における暴力の問題は古くからあったものの、職員から児童への暴力だけではなく、真実は、児童から職員への暴力や児童間の暴力も多いという実態を目の当たりにします。教授は、この施設内暴力の問題が、どの都道府県の施設にも起こっていることで(もちろん暴力のない優良な施設もありますが)地域の実情に関係なく、当該施設内のみでは対処できない構造上の背景がある、ということに着目しました。
人間の発達過程には5段階の欲求があると言われており(マズローという学者が提唱)、生理的欲求(食欲や睡眠、排泄)、次に安全欲求(安全なところで安心して過ごしたい)、その次に愛着欲求(甘えたい、愛されたい)、その次に承認欲求(人や社会から認められたい)、最後に自己実現欲求(自分が選んで進む道の中で自分の価値を高めていきたい)というステップを順に進んでいくが、暴力にさらされている施設内の子ども達は第二段階の安全欲求のところで助けを求めている、暴力行為の当事者(加害児も被害児)に入所前の虐待が原因で愛着障害があるとかないとか、そういうことが問題なのではないということ、その前段階の安全欲求の部分を満たさないことには、子ども達の成長のサポートができないということでした。

教授は暴力が発生する構造上の問題として、児童養護施設に入所している子ども達は、自分の意思にかかわらず所属しており出入りの自由度が極めて限られている、いわば「ここにいることが不本意である」人間の集団であり、また、自分の思いを伝える手段として言葉を使うことが苦手であるという特徴も加わって、何かあればすぐに手が出る、暴力が深刻化しやすい、ということを分析しました。(したがって、この所属における不本意性という側面から、児童養護施設だけではなく、学校の寮や軍隊、精神病院なども同様のことが当てはまると考えられるそうです)。
また、加害児はかつての被害児であり、暴力が連鎖しているという問題もありました。

施設の子ども達は、甘えたいとか、愛されたいとかそういうこと以前に、とにかく安全なところで安心して暮らしたい、という切実な願いを持っている。この切実な願いに応えるべく、教授は、この構造上の問題として起こりうる暴力問題に対して、組織を上げて取り組む必要がある、として「安全委員会方式」というものを考案しました。

新たな被害児を生み出さないようにするべく(それはひいては将来の加害児も生み出さないことにつながる)徹底した取組みを始めました。

ちょっと長くなったので、また時間のあるときに続きを書きます。

柏熊志薫