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釜山弁護士会との交流② ~養育費確保のための諸制度 [離婚]

引き続き、釜山訪問について。

討論会での第2のテーマは養育費問題でした。
日常業務の中で、最も痛切に制度改革が必要と感じる分野なので、討論テーマにしてもらい、報告を担当しました。

●まず日本の問題から。
これは、主に、
①取り決め自体少ない、②金額が低い、③不払いへの対処が困難という点です。

○取り決め自体少ない
取り決めること自体が少ないのは、離婚の制度によるところが大きいです。
日本では、養育費を決めなくても協議離婚ができますが、このように当事者間で自由にできる協議離婚は、諸外国では一般的というわけではありません。
自由…と言えば聞こえがいいですが、裏を返せば、力関係次第ということ。
「もめたくない」「応じてくれないから」と養育費を取り決めずに離婚するケースも多々あります。
統計では、養育費の取り決めがされたのは、母子世帯で37.7%、父子世帯で17.5%。
離婚種別でいえば、協議離婚で30%に対し、裁判所が関与する離婚(調停・和解・判決)では74%。裁判所の関与の有無で全然違います。
が、裁判所が関与するのは離婚の1割強に過ぎません。

○金額が低い
日本では、養育費の額は、簡易算定方式で算定します(検索ワード「養育費・簡易算定表」)。けれども、この方式は、文字通り「簡易迅速な算定」を目的に作られたもので、子どもの育ちに必要な水準という観点に欠けているので、金額が、単身世帯の父親の手元に残る額に比較して低く、特に教育費がかさむ中高生ではその低さが目立ちます。

○不履行への対処が困難
さらに、不払の場合の有効な手立てが乏しく苦労させられます。
給料や預金を差し押さえ(強制執行)できますが、勤務先や預金先が分からないと手続ができません。
そのため、継続して支払われている割合は、母子世帯で20%程度という実情です
(前述のとおり、取り決め自体が少ないので、逆に、取り決めがあるケースでは過半数は払われているということになりますね)。

こうした実情が、離婚後の母子家庭の貧困の一因ともなっており、早急に、きちんと支払われるよう制度改革が必要です。

●韓国では…
この点、韓国では、以下のような制度となっています。

◎取り決め段階 ―裁判所の関与
韓国では、数次の法改正により、協議離婚が厳格化されています。
まず、家庭裁判所で協議離婚の意思の確認手続が必要です。
具体的には離婚に関する案内を受講した上、熟慮期間の経過(子どもの有無により1カ月または3カ月)と、養育費や面会交流に関する協議書か家庭裁判所審判の提出が必要です。協議書の内容が子の利益に反する場合はつき返されます。
このように、協議離婚といっても、当事者の力関係に委ねず、子どもの利益を守るために積極的に国が介入する制度になっています。
なお、熟慮期間はDVなど緊急の場合は短縮があります。

◎金額 ―子の養育に必要な額という観点
算定表がある点は日本と同じですが、日本と違い、両親の合計所得の水準ごとに、両親が負担すべき養育費の上限・下限が記載され、具体的な分担は両親の経済状況により決められます。
子どもの年齢層ごとに金額が決められており、日本の算定表より高額です。
例えば、合計所得300万円台の場合、3~5歳で7.3~9万円、15~17歳で11.5~12.3万円程度です
(子ども1人の場合の例。この額を夫婦で分担する)。
写真.JPG

◎不履行への対処 ―養育費履行確保のための法律
通常の強制執行の他に、以下のような履行確保のための制度があります。
・財産明示・財産照会制度
 …裁判所による財産リストの提出命令、関係機関への財産照会
・直接支払命令
 …2回以上不払の場合、裁判所の命令により、雇用主から直接養育費を払わせる制度
・担保提供命令
 …支払う者の不払や資力の変動に備え、不払を受けて、裁判所による支払義務者に対する担保提供命令制度
・一時金支払命令
 …不履行時の制裁として、担保提供命令に応じない場合、全部または一部を一時金で払うよう命令できる制度
・制裁強化
 …養育費の不払や財産目録の提出拒否などの義務違反に対し、上限70万円規模の過料の制裁や、一時金支払命令に応じない場合、身柄拘束が可能となる制度。

以上に加え、2014年に養育費の履行確保のための法律が制定され、国の専門機関が設置されました。

このような制度の下で、養育費支払は義務としてきちんと確定すれば、支払われる割合は73%とかなり高いそうです。
ただ、まだ支払確保のための制度が十分知られていないので、周知して権利行使につなげることが課題とのこと。

質疑応答では、日本には、養育費の不払に対して特段のペナルティがないということに、かなり驚かれました。

韓国では、2000年代に養育費の不払が社会問題になって、これら支払確保のための制度が次々に整いました。
翻って日本では、目下、債権一般について強制執行の強化のため、裁判所を通じた口座情報開示制度の導入について検討が始まったところです。
その早期実現と共に、特に子どもの育ちに不可欠な養育費の重要性から、適切な金額水準への引き上げや、特に支払を確保するための方策や強力なペナルティを導入するなど、子どもの福祉の観点からの制度改革が強く望まれます。

相原わかば

釜山弁護士会との交流会① ~DV被害者支援制度~ [DV]

福岡県弁護士会の企画で釜山弁護士会との交流会に参加するため、
9月1日から2泊3日で、釜山を訪問しました。
この交流は、26年目で、毎年、福岡と釜山で交互に訪問しているのだそうです。
私は、初参加で、韓国を訪れること自体が初めてでした。
今回の交流会は、福岡県弁護士会長(原田直子弁護士)の発案で、
討論会のテーマにDV被害者支援制度や養育費制度を取り上げました。
近年、韓国では、女性活躍支援が活発化しており、この分野でも先進的な取り組みがなされているからです。

まずDVに関してご紹介します。
討論会での報告によれば、
韓国でもDVに関する法律が1997年に制定されています(日本は2001年)。
DV防止と被害者保護に関する法律だけでなく、「家庭暴力犯罪」として刑事処罰に関す法律の2つがあります。
また女性のための24時間緊急電話があり、相談、緊急避難、保護施設への入所、医療や法律、刑事手続への支援が受けられます。
新設の制度としては、被害者保護の一環として、裁判所への出席や面会交流を実施する場合の身の回りの安全措置を裁判所・検察・警察が連携して行うものがあります(2014年12月に新設)。

日中は、施設見学も行いました。     写真 3.JPG
見学先は、              
・DV被害者のシェルター
・家庭内暴力・性暴力被害のワンストップ支援センター
・家庭内暴力・性暴力被害の相談所
です。
施設はどこも、公的資金や補助金で財政基盤がしっかりしているのが印象的でした。

◎相談所
相談所は、上述の緊急電話(ホットライン)を運営する他、
DV、性暴力被害、家庭内の葛藤等について、相談・治療・回復等のプログラムを行っています。
全国25か所が連携しており、無料法律相談も行っています。
治療・回復プログラムは、医療に加え、写真・演劇・陶芸等を取り入れたものがあり、多様で各分野の専門家により行われているそうです。
相談後、必ずしも保護施設に行くケースは多くなく、在宅で支援することも多いそうです。

◎ワンストップセンター
続いて、ワンストップセンターですが、
市立病院内に設置された、24時間対応の施設で、
性暴力被害・DV・児童虐待などを対象に、医療やカウンセリング等の心理的なケア、捜査や法的手続などの助言や支援を行います。
ワンストップセンターは、被害者が、捜査過程で二次被害を受けるのを防止し、精神面を含めた負担に配慮して設置されたものです。
被害者には、国選弁護人がつけられ、
捜査や刑事裁判への同席や民事損害賠償のサポートを受けることができます。
また、陳述録画支援があり、被害者が、被害状況を何度も話さなくて済むように、捜査官がワンストップセンターに出向いて話を聞き、陳述が録画されて証拠化されます。
殺風景な警察署と違い、相談室のような場所で、休憩室などもあり、被害者への配慮が感じられます。

◎シェルター
シェルターは、DV被害者が避難して生活する施設なので、場所は秘匿され、近所にも何の施設が知られていません。
通常、団体での見学は許されていないところ、特別に許可していただきました。
外観は、普通のマンションに見え、中は明るく新しい建物でした。
トイレ・シャワー付の個室と、TVとソファー等があるくつろぎの部屋や絵本とおもちゃの部屋、本とテーブル等がある部屋など共有スペースも充実しており、心身が癒される工夫が随所にありました。写真 1.JPG
訪問時はお昼時で、入居者の女性達がキッチンでおしゃべりしながら料理していて、活気があり、
周囲で子供達が遊び、外国からの訪問客に礼儀正しく挨拶してくれ、覚えたての「コンニチワ」を嬉しそうに使っていました。
避難中も地域の学校に通え、守秘義務の誓約の上で学生等のボランティアの学習支援等が受けられるそうです。

その後の討論会では、
日本のDV対策について、身体的暴力を伴わないケース(精神的DVや性的DV等)に対して、(行政の被害者支援対策の対象であるとはいえ)特に処罰等の対策がないのか、という質問が出されました。
韓国の「家庭暴力(DV)」は、「家庭構成員間の身体的、精神的または財産上の被害を伴う行為」と定義されています。

このように、日本に比べDV支援・対策が充実している韓国ですが、
事前のリサーチによれば、鍵は、1990年代終わりからの女性活躍支援策の取り組みにあるように思われます。

日本の女性活躍支援は、少子化対策から重視され始めましたが、
韓国では、男女共同参画として広くポジティブアクション(女性の参画を促進する措置)がとられ、女性市民団体が政策決定に参画することになりました。
また、家族を包括的に支援するための健康家庭基本法(2005年)が制定されましたが、その基本計画で、「家族の全てが平等で幸せな社会」が新しい家族観として示され、
男性の家庭生活参画の支援と女性の経済活動参画がうちだされました。

韓国といえば、ジェンダーギャップ指数や男性の家事・育児時間、少子化の程度等で、日本と共に(あるいは日本以上に)下位を占めてきて、日本と同じく、男尊女卑を含めた社会の序列が厳しいのかなと言うイメージでおりましたが、
実際は、この15年程の政策転換により若い世代だけを比べると大きく変化しているそうです。

長くなってしまったので、ここで筆をおき、次回は、養育費についてご報告したいと思います。

相原わかば

福岡女性九条の会11月集会のご案内【チラシ画像を添付します】 [平和]

先ほど、福岡女性九条の会の11月集会の御案内を掲載しましたが、
チラシ画像を添付します。

先ほどのブログに添付するつもりでしたが、オロオロと操作しているうちに
添付漏れになってしまいました;;
2つのブログにまたがってしまい、申し訳ございません。

講演者の浜田さんが読み聞かせをされている姿が
掲載された素敵なチラシです。

是非、集会にご参加下さい!

(佐木さくら)20160909133636.png

福岡女性九条の会の11月集会のご案内 [平和]

福岡女性九条の会が今年も集会を開催します。

11月6日(日)14時〜16時@天神ビル11階10号会議室
絵本作家・浜田桂子さん講演会
子どもたちと考える命と平和
〜「へいわってどんなこと?」を読みあって〜

浜田さんによる絵本の朗読も予定しています。
お子さん連れの方も大歓迎です。
託児もありますので、小さなお子さんをお連れの方も
ご参加いただけます。
皆様、お誘い合わせの上、是非、ご参加下さい。

お問い合わせは、弁護士法人女性協同法律事務所
電話092−751−8222(月〜金 9時〜17時半)
佐木(さき)まで。

****浜田桂子さんのプロフィール****
1947年埼玉県生まれ。桑沢デザイン研究所卒業後、
田中一光デザイン室勤務。
1984年「あやちゃんのうまれたひ」(福音館書店)で
デビュー。絵本に「てとてとてとて」「わらう」(以上福音館書店)
、「ぼくがあかちゃんだったとき」(教育画劇)、
「ぼくのかわいくないいもうと」(ポプラ社)など多数。
日・中・韓平和絵本「へいわってどんなこと?」を3国共同刊行
(日本は童心社)国内外の子どもたちと、絵本を読みあったり
絵を描くワークショップを行なっている。日本児童出版美術家連盟、
日本ペンクラブ会員、「子どもの本・九条の会」運営委員。

大薮順子さん写真展・講演「STAND 立ち上がる選択」 [性暴力]

大薮順子さんの素晴らしい写真と講演に加えて、
たくさんの皆様のご協力をいただき、
とてもよい写真展@イムズと講演会@アクロスを開催させていただけました
(主催は、写真展は性暴力被害者支援センター・ふくおか、講演会は福岡県弁護士会です)。

西日本新聞朝刊で2回、
NHKニュース(TV・ラジオ)でも複数回報道をいただき、
報道を視聴して感動をしたといったご意見をくださった方もいらっしゃいました。

参加した弁護士も、複数が、
「脳が傍聴した」、「感じたり考えたりが多すぎて頭が爆発した」などと
軽い興奮状態でした!

大薮様はじめ皆様、
またその方々をサポートし、あるいは留守を支えてくださったご家族の方々も、
本当にありがとうございました。

以下は、もしも理解不足の展がありましたら、
大薮さんにコラ!と言われてしまうかもですが!、
個人的に、とても胸にひびいた箇所を記載しておきます
(もっと沢山ありますが、全ては書き切れないので、まずは一部ということで)。

できれば大薮さんの本を購入いただければ、
私の稚拙なメモよりも、ずっと心に響くものがあると思います。
(本にでてくるエピソードを知って、「自殺をやめた」方もいらっしゃると聞きました)。


*******

たくさんの女性はもちろん、
男性被害者、家庭のなかの被害者、子どもの性虐待などが、いかに多いかということ。

いかに社会のなかで、誰にも知らずに闇にほうむられているかということ。

*******

暴力は加害者の意思でしかおこらないこと。
被害者の意思ではおこっていないこと。

だから、被害者に「注意しなさい」と言っても、
何をどう注意すればよいかなど誰にもわからない。

そんなことよりも、加害者にきちんと責任をとらせること。

一人の加害者に、何人、何十人もの被害者が存在しうること。
暴力は、被害者一人を傷付けるのではなく、
その周りのたくさんの家族や愛し愛される人をも傷つけること。

一人の加害者に、きちんと責任を負わせることは、
本当にたくさんの人を、ひいては社会を守ることにつながること。

*******

被害者は、ステレオタイプな、無個性な、
あるいは統計上の数としての「被害者」ではないこと。

その一人一人に、人生があり、個性があり、人間関係があり、
喜怒哀楽も愛情もあること。

彼、彼女たちは、怒りながら、あるいは自分を哀れみながら
被害者としての人生を選ぶこともできるし、
あるいは、よりベターに、パワフルな自分の人生を、選び取っていくこともできること。

彼、彼女たちには、たくさんの権利があること。
権利を知らされ、適切な説明とサポートを受け、
権利の行使や選択を行っていくべきであること。

********

彼・彼女たちに、「あなたは悪くない」ということを、伝え続けること。

彼・彼女たちは、当然、悪いことはしていないいのだから、
そう言われると怒ることもままあること。

それでも、いつか、「どうして、あの日、あのとき、あの場所にいたのか」、
「違う行動をとっていたら、被害にあわなかったんじゃないか」と
彼・彼女達が、過去を悔やんでしまう時に、
どう考えても過去は変えられない、おきたことは無かったことにはならない、
でもその出来事は、「あなたの意思でおこったものではない」「あなたは悪くない」こと。

そう繰り返し語り続けられたことが、
いつか心の中に種をまき、次の人生を選び取っていく上の糧になりうること。

********

被害者が被害を語る時、周りで嵐がおこる。
どうしてそういうことを言うの、言われた側はどうなるの・・・
嵐のなかで、被害者が孤立してしまうことさえある。

それでも彼・彼女達は、自分が悲劇の主人公になりたいわけでも、
有名になりたいわけではなく、
自分があった被害から、他の人、自分の子ども達が同じ被害にあわないために、
自分で被害をくいとめるために、勇気をもって語ってくれた人達がたくさんいたということ。

その人達を孤立させてはいけないこと。
社会が手をさしのべて、依存関係に陥らず、けれども互いによりそって、一緒にやっていくこと。

*****************

(郷田真樹)

DSC06483.JPG

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木村草太さん講演「憲法解釈の理論-集団的自衛権と同性婚を素材に」 [憲法]

5月25日、福岡県弁護士会の総会が開催され、
憲法学者の木村草太さんに記念講演をいただきました。

木村さんは、「首都大学東京大学院社会科学研究科法学政治学専攻・
都市教養学部都市教養学科法学系教授」というお立場ですが、
あの「報道ステーションの憲法学者の先生」の方がわかりやすいかもしれないですね。

お話は、「憲法解釈の理論-集団的自衛権と同性婚を素材に」というものでした。

国際法の読み解き方、
憲法の読み解き方などを、
わかりやすいたとえを駆使して、順を追って丁寧に、
詰め将棋のように綺麗に問題のとらえ方を説明してくださいました。

結論として、
日本国憲法には集団的自衛権を根拠づけるような規定はない、
憲法は同性婚を禁止していない、
ということが、フローチャート式によくわかりました。

詰め将棋のような理論展開で、
クリアカットとはこのことか!というすっきりした気持ちです。

(質疑応答でお伺いするような事柄でもありませんでしたが、
 とはいえ、一番おうかがいしたかったのは、その、問題整理能力の身につけ方?だった、
 という講演会でした)

少しずつ少しずつ慣らされて、見聞きする情報そのものも操作されて、
私達はいま、気がつかないうちに、戦前そのもののような社会にいると感じます。

戦前だって、同じように、ある日突然危機的な何かがあったのではなくて、
なんとなく、あれ?、あれ?と思っているうちに戦争がはじまって、
でも、市民の生活はなんとなく続いていって・・といううちに、
気がつけばあの大惨禍に至ってしまったのだったのだろうと思います。

戦争や互いが互いを監視して縛り合うような社会は、
誰かの強い意志によっても興りえるのでしょうが、
それを支えるのは、一人一人の無意識・無関心にほかならないと思います。

わからないから選挙にいかない。
忙しいから選挙にいかない。
誰に投票したって一緒でしょ。
私の一票くらい、誰にいれても社会は変わらないでしょう。

でもその一票一票が集まって、いま、私達はたくさんの政治家達から
「政治が何をやっても国民は目先のことしか考えてない」
「税金あげずに、適当に福祉をばらまけば、選挙なんて大丈夫」と、
簡単に手なづけられるかのように誤解をされている、
語弊を怖れずにいえば、見下されているように思います。

子ども達が、戦争に怯えず、平和な社会で生きていけるように。
好きな人と、自分らしく人生を歩んでいけるように。

あなたの意見を、無投票ではなく、白票でもなく、
きちんと社会に伝えていただければと願います。

まずは、暑くても、雨降りでも、忙しくても、ちょっと大変な思いをしてでも
きんと1票の行使を、ぜひ!。

(郷田真樹)


共通テーマ:日記・雑感

「男女平等及び性の多様性の尊重を実現する宣言」 [男女共同参画]

5月25日、福岡県弁護士会の総会が開催され、
「男女平等及び性の多様性の尊重を実現する宣言」が議決されました。

これは、下記の前提で、弁護士会が、
男女平等及び性の多様性尊重を実現するために基本計画を整備し、
さまざまな取り組みを行っていく予定であることを宣言するものです。
 
***抜粋***
私たちの住む社会は、さまざまな個性をもつ人々で構成されています。

どの人もみな、個人として尊重され、
自らの個性と能力を十分に発揮する機会が確保されなければならないことは、
いうまでもありません。

性別という枠を超えた人権尊重の必要性も指摘されはじめている現在、
性の多様性を受け入れ、それぞれの個性を生かし活躍する社会という観点は
非常に重要です。


かかる観点から、福岡県弁護士会は、
真の男女平等の実現とともに、性別を問わず、
全ての人々が、自分らしく、個性と能力を十分に発揮できる社会をめざして、
みずからが総合的かつ統一的な取り組みを行うことが必要だと考えました。」


当事務所も、ご相談者・ご依頼者の方はもちろんのこと、
様々な弁護士・弁護団や、関係各機関の皆様とともに連携をとりながら、
男女平等や、性の多様性が尊重される社会を実現するために、
さまざまな側面から取り組みを行っていきたいと思います。

皆様、今後ともどうぞ、よろしくお願いいたします。

(郷田真樹)

【写真展・講演会】立ち上がる選択〜性暴力を許さない社会のために [性暴力]

写真展・講演会開催のご案内です。

6月4日(土)10時〜20時@天神イムズ
 写真展 Projekut  STAND 
     性暴力サバイバー達の素顔
 15時30分〜大藪さんに30分ほどトークをいただく予定
 (性暴力被害者支援センター・ふくおか主催)


6月5日(日) 13時〜15時@アクロス 
 写真家・大藪順子さん講演会(先着100名限定)
 立ち上がる選択〜性暴力を許さない社会のために
 (福岡県弁護士会主催)

皆様、ぜひぜひお誘い合わせのうえ、お立ち寄りください。

*詳細(特にアクロスのEV選択は要注意!)は、
 チラシをご参照ください。

****大藪さんプロフィール****
1971年大阪府生まれ。コロンビア・カレッジ・シカゴ卒業後、新聞社で専属写真家として 活動する傍ら、性暴力被害者を取材撮影し「STAND:性暴力サバイバー」を発表。米国の TVドキュメンタリーとなり、大きな反響を呼ぶと共に、米連邦政府の女性に対する暴力に 関する上議員特別議会で発言権を与えられる。以来、ワシントンの上議員オフィスからハ ワイの女性刑務所まで、各地で展示会と講演をし、米政府主催の防犯全米キャンペーン等 にも携わる。2006年より日本各地でも講演と写真展を通して被害者支援体制構築を訴 え活動。2002年ワシントン DC レイプクライシスセンターよりビジョナリーアワード受賞。 2008年やよりジャーナリスト賞受賞。2011年シカゴの母校より卒業生優秀賞受賞。2007 年著書「STAND-立ち上がる選択」出版(フォレストブックス)。米国発ニュースサイト、ハフ ィントンポストにブログシリーズ「浦島花子が見た日本」を不定期執筆。スクリーンショット 2016-05-11 16.26.52.png

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災害時 LGBTの方たちへの理解を、一人で悩まず相談を!

災害とDV・性暴力について文章を書いたところです。

女性・子どもの脆弱性、などと言われたりしますが、
社会のなかで構造的に弱い立場にいらっしゃる方は、
災害・復興時などに、さらにその弱さ(脆弱性)が増し、
平常時よりも辛い思いをすることがあります。

LGBTなどとも表現される性的マイノリティの方達についても、
プライバシーが確保されず、常時、第三者の目にさらされる環境にいる場合には、
こうしたことに理解のない人達からの視線や接触を遮ることができず、
平常時より辛い思いをされることがあるかもしれません。

また、自分自身が性的マイノリティだということを他者に隠しているような場合には、
そのことを隠すために多大な努力を要したり、
隠しきれなかった時に「ばらすぞ」と脅されたり、
さまざまな苦労があるかもしれません。

自分のパートナーが誰であるかを秘密にしているような場合には、
パートナーの安否を大手を振って探せず、
互いの安否確認ができるまでに身を切られるような辛い思いをしたり、
あるいは、周囲の目が気になって、
互いに一緒の避難所に入ることができなかったりするかもしれません。

しかも、そうした辛さを、秘密を知らせてもよいごく少数の人にしか出せず、
身のうちにかかえて生活をするほかない辛さもあると思います。

幸いにして現在は、SNSなども発達し、以前に比べて、
さまざまな、信頼しうる性的マイノリティ支援団体などへの、
アクセスがしやすくなっていると思います。

どうか、辛い思いを誰かと共有しながら、
この大変な時期をご無事に乗り越えられますようにと願っています。

また、平常時であれ、災害・復興時であれ、
脅し、暴力、DV・性暴力(男性被害者や性的マイノリティの被害者も含む)は
許されませんし、犯罪にさえなりえます。

性的マイノリティの方たちについて、これまでの女性被害者支援のような、
相談・支援体制が整備されるまでには、まだまだ時間を要するかもしれませんが、
現在は、行政機関なども含め、性的マイノリティの方達についての、
相談・支援体制の整備の必要性がうたわれはじめています。


被害にあわれた時、自分でどう対応をしたらよいかわからない時、
どうか一人で悩みを抱え込まず、
ご自身が信頼できる、話をしてもよいと思える身近な方からでも、
行政や法律家といったところからでもかまいませんので、
アクセスをしてみて、もしも相手が信頼できると思えた時には、
遠慮なく、あなたの悩みについての相談をしてみてください。


また、自らが被災者として日々を必死に乗り越えていらっしゃる皆様や、
被災地や全国で、被災地に思いをはせあるいは援助を続けているたくさんの人達に、
山積している膨大な質・量の越えていくべき課題のなかで、
表立って目に見えにくい事柄ではあるけれども、
確実にLGBTと言われる性的マイノリティの方たちも確実に存在し、
それぞれが同じく被災者として課題を抱え、
人知れず悩んでいるということに思いをはせ、
理解や共感、支援の気持ちをよせていただけますと、とてもうれしいです。

(郷田真樹)


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災害時のDV・性暴力〜被害をうったえることは、わがままではありません。 [DV]

「皆さんが被災して大変な時に、
 こんな家庭内のつまらない揉め事を相談する、
 私はわがままでしょうか?」(DV被害者)
 
「そこでしか生きていけないときに、
 誰にそれを語れというのですか?」(性暴力被害者)


東日本大震災
「災害・復興時における女性と子どもへの暴力」に関する調査報告書 に出てくる、
いたいたしい言葉です。

災害・復興時、多数の人が極限的かつ長期的なストレスにさらされ、
社会的インフラも整わないなかで、平常時であってもおこりえた、
DVや性暴力などの被害者が救済されにくくなるだけでなく、
災害による被害の増加リスクもあることが指摘されています。

たとえば、上記調査報告書には、さまざまな胸の痛む被害経験が述べられています。

避難先で物資を融通する権力のある男性に性行為を強要されても、
「いやなら、ここにいられなくなる」と言われ応じざるをえなかったうえ、
「騒いで殺されても海に流され津波のせいにされる」といった恐怖から、
「その後に誰にも言えなかった」という話。


物資を融通してもらうなら、性的に搾取をされても仕方がないと思われるためか、
他の女性から性的被害を「あたりまえだ」と言われた話。


加害男性側も辛い立場にあるためか、
男性が女性の毛布に入り込んでいても、
周囲が「若いから仕方がない」と見て見ぬふりをしてしまった話。


支援女性が、被災者から被害を受けても、ボランティアリーダーから、
「支援者ボランティアが被災者をしかり指導するとは、もってのほか」と
暴力を容認されてしまったという話。



何れも、加害者も被害者もギリギリの、平常心を維持し難い状態下での
出来事だったのかもしれません。


けれども、だからといって、
女性に対して、DVや性暴力を加えてよいわけではありません。


平常時であれ、災害・復興時であれ、女性に対する暴力は許されません。

それは個人の人権や尊厳を損なうものです。

たとえば、レイプは「魂の殺人」と言われるほどに、
被害者の人生を、一生にわたって左右するほどに、深く深く損ないうるものです。
 

また、多数の人が「レイプ」と言われて想像するような性暴力等に限らず、
何かを融通すること(物資の融通等に限らず、施設内で目立たず、いじめられず、
平穏すごせることも含む)と引きかえに、
暗に明に性的関係を求めることもまた、ひとつの性暴力です。
一見、女性がそれに同意をしているように見えたとしても、
極限状況下でのその取引は性的搾取に他なりません。


今、被災地では、たくさんの人達が、助けあい、手を取り合って、
被災地で懸命に日々をすごしています。
全国の皆さんからの温かく感動的な支援がたくさん届けられています。

そうしたなかで、どうか、DVや性暴力といった被害が発生しませんようにと、
切実に願っています。

それでも、不幸にして被害にあってしまったという方は、どうか、
「わがままかもしれない」、「仕方がないのかもしれない」などと躊躇をせず、
声をあげてください。泣き寝入りする必要はありません。


もしかしたら、混乱時した状況のなかで、
最初の相談先で適切な対応を受けられないこともあるかもしれません。

それでも、たくさんの人達が、
災害・復興時のDV・性暴力といった被害が生まれないことと、
不幸にして被害にあってしまった方が適切な相談・支援先にアクセスができて、
支援をしたいと思っていることを知って、ぜひ誰かにつながっていってください。

そして、ともに歩みながら被害を回復し、災害に加えて、さらに傷ついてしまった
あなたが、それでも、しっかりと、あなたらしい人生を取り戻していくことを、
心から願っています。

なお、こうした話をすると、
被災者・支援者等を侮辱しているのか、信頼していないのかといった
ヒステリックな意見も出されがちです。

実際、上記調査報告にも、報告者らが、
阪神淡路大震災時の経験をふりかえって、
「神戸・沖縄 女たちの思いをつないで~私たちは性暴力を許さない!」
という集会を開いたところ、
一部マスコミなどから、
「被災地で性暴力はなかった。証拠がない、全て捏造である」といったバッシングを受け、
「性暴力を許さない、と声をあげたことだけで、なぜこれほどにバッシングされるのか」と
深く傷ついた、という話がでてきます。


平常時でさえ、DV・性暴力といった気持ちの落ち込むような話に、
共感し、あるいは過去を思い出し、苦手とされる方もいらっしゃいますから、
災害・復興時にこのような文章を書くことそのものが、
DV・性暴力とは縁遠いと自認していらっしゃる多数の人達のお気持ちも含め、
傷つけ、ご不快な思いをさせるのではないかと、逡巡をしました。


けれども、平常時のDV・性暴力の発生状況からみて、
非常時にだけそれらが発生していないと考えることは不自然です。
加えて、災害復興時にこれらのリスク増加は、既に国際的な知見になりつつあります。


そうした事実を前提に、社会全体で、復興支援時においても、
災害対策(避難所運営なども含む)の様々な場面で女性を適切に参画できるようにし、
女性の目をいきとどかせると共に男女格差をなくしていく努力が、
やはり必要なのだろうと思います。


ですから、多数の人達に、考えたくないことではあるけれども、
災害・復興時にも、DV・性暴力の問題が存在し、
そのリスクは平常時よりも増加するリスクがあるという指摘を知っていただき、
女性達がそのような被害にあわないよう、互いに声をかけ、目配りをし、
そうした被害が発生しないようにお力をお貸し頂きたいと思い、
あえてこの文章を掲載することにしました。


また、もしそういう被害を耳にしたときに、
災害・復興時だから仕方がない、加害者だって大変なんだといって見過ごさず、
被害を被害として受け止めて、被害者に寄り添おうと思ってくださいますと、
本当にありがたいです。


最後に、不幸にして被害にあわれた方が1人でもいらっしゃるならば、
その方に、たとえ大変な非常時であったとしても、
あなたは被害について語る権利があるし、
医療的・精神的ケアはもちろんのこと、
行政支援や法律的支援など、必要な支援を受けるべきであるし、
それは決してわがままなことではなく、あたりまえのことです、
ということが伝わればと願っています。


あらためて、こうした文章で、ご不快な思いをされた方がいらっしゃいましたら、
深くお詫び申し上げます。


(弁護士・郷田真樹)


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